構造

ミルクボーイの漫才風CM全部みる

2019年にM-1グランプリで優勝して以来、ミルクボーイを起用した漫才風CMを本当によく見るようになった。 どうも「オカンが忘れたもの」のシステムは商品紹介と相性バツグンで、笑いも入れつつ適度に情報を提示しながら宣伝するのにちょうどいい構造のようで…

分岐する物語:「アンチ・選択肢」の試み

以前、ゲームにおける選択肢というものがもつ性質や、ある種の禁止事項について書いた。 xcloche.hateblo.jp 簡単に要約すると、この昔公開した記事では遡及的な選択肢(その選択肢をとることで、選択肢以前に決まっていたはずのものごとが変化するような選…

ループする因果:「ドロステのはてで僕ら」

ドロステのはてで僕ら 先日、映画「ドロステのはてで僕ら」を観た。これが非常におもしろかった。 www.europe-kikaku.com 雑居ビルにあるカフェで起こった、SFめいた事象。 テレビとテレビが「時間的ハウリング」を引き起こし、2分前と2分後がつながった。…

「息吹」と『エンジン・サマー』とボイジャーの旅

はじめに 2019年12月4日、満を持してテッド・チャンの第二短編集『息吹』が発売された。今回は「物語が語られるということ」を焦点に、周辺の作品や情報を追いながら表題作の短編「息吹」を読み解いていきたい。 「息吹」の基本情報 息吹作者:テッド・チャン…

世界の階層性とフラクタル:『プラネタリウムの外側』

再帰構造をもつゲーム 最近、ツイッターでなにやらおもしろげなゲームの映像が流れてきた。 Excited to show off the other "main mechanic" of my game!Patrick's Parabox is a puzzle game about boxes, pushing boxes, and Patrick's Parabox.#screenshot…

アニメの中の視点:一人称アニメの世界

一人称アニメ 多くのアニメでは、キャラクターたちが動いているのを三人称的な視点から俯瞰する、という形で画が作られている。時には演出として「ある人物の視点から見た光景」がシーンとして用いられることもあるが、一時的なものだ。 今回は、一人称視点…

serial experiments:断片化した物語の可能性

物語の順序 映画やドラマ、小説などの物語には「見る順番」「読む順番」がだいたい決まっていて、ふつうはその順番に従うのが一番楽しいようなつくりになっている。だいたい、一話の後に二話を見ること、一巻のあとに二巻を読むのがよい。 たとえば推理小説…

物語を俯瞰する目:マルチプレックスのすすめ

『エンパイア・スター』読んだか? 『エンパイア・スター』というのは、1966年にアメリカのサミュエル・R・ディレイニーが書いた中編SFである。一文要約すると、辺境の惑星で暮らしていた青年がある日「エンパイア・スターという星にメッセージを届ける」使…

ゲームにおける「選択肢」と時間

ゲームと「選択肢」 一般的な小説や映画が一本道のストーリーを辿るのとは違って、ゲームには道筋やゴールが複数あるもの(マルチエンディング)が数多く存在する。有名なのはドラゴンクエスト1(FC版)だろうか。ラスボスである竜王の居城にたどりついた主…

「あなたの人生の物語」のテキスト演出と、「メッセージ」の映像演出

先日アメリカに行く用事があって、帰りのアメリカン航空の機内で映画「メッセージ」(原題は「ARRIVAL」)を観た。国内でも映画館で観ていたので二回目ということになる。機内では特にやることもなかったので、暇に飽かせて一時停止と巻き戻しを繰り返しなが…

継承と反復の物語・「けものフレンズ」の三つの旅

「けものフレンズ」に関する重大なネタバレを含みます。未履修の方はブラウザバックを強く推奨します。 「けものフレンズ」の中には三つの旅がある。 メインストーリーである「〈かばん〉とサーバルとボスの旅」、それを追いかける「アライグマとフェネック…

「フレンズ」、けものとヒトの双方に寄り添うもの

2017年3月28日、一大ブームを引きおこした「けものフレンズ」が最終回を迎えた。 タイトル「けものフレンズ」とは何だったのか、作中で提示される「ヒトのなわばり」とはいったいどこなのか。シリーズ全体の構成を読み解きながら探っていきたい。 ジャンプ!…