最近よかったコンテンツについてしゃべリバー#3

最近触れたよかったコンテンツの話をするTwitterスペース(隔週)「最近よかったコンテンツについてしゃべリバー」第3回を5/24(火)に開催した。 今回の話題は、

  • 3D化されたフェルメール「牛乳を注ぐ女」の話
  • 最近話題の倍速再生について書かれた新書
  • メディア過渡期の演出の変化
  • インターネットや資本主義のとにかくひどい最悪さで人類がぜんぜん団結しないパニック映画「ドント・ルック・アップ」
  • 実写ミステリゲーム「春ゆきてレトロチカ」

など。

次回は 6/7(火) 22:00-の予定。

坪倉さんの「牛乳を注ぐ女」の話

  • 2Dの絵(写真)から3Dモデルをおこすのは、「逆問題」と呼ばれる問題に属する
  • 逆問題は解けるとはかぎらない/解けたとは言えないことがある
    • 絵が3Dモデルをある角度から見たものと考えると、他の角度の情報が脱落しているのでそもそもすべて復元できるはずがない部分がある(解の一意性がない)
    • 解の一意性の反例:ネッカーの立方体
      • どちらが出っ張っている側かは見るだけではわからない
  • パンの裏側に何があるかなんてわからない、見えてないだけで腐っているかもしれない
  • 機械学習や人間の思考は確率的に高い/それっぽいものを出して3Dモデルを構築する
    • パンの裏は腐ってるかもしれないが、そんなことはふつう考えない
    • 本来はつねにそうした可能性があることを認知すべき問題である
  • 主モチーフ「牛乳を注ぐ女」の女に奥行きがなく、2Dの等身大パネルである
    • カメラがズームインしていき、絵の中の手前にあるものが3Dオブジェクトになっていることに驚いていると、最奥の女は平面のままでひらべったいことに気づく
    • この作品は2Dを無邪気に3D化する行為がもつ暴力性を表現している!
  • 人間の3D化がめんどくさかっただけでは...?
    • アート鑑賞は製作者の意図を正しく斟酌するクイズでわない!
    • そう読み解くこともできるよねという話

映画を早送りで観る人たち~ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形~

  • 最近の若者は映画を倍速で見がち、どうなっているのかという内容の新書
  • 田豊史の現代ビジネスの記事が話題になり、トピックをまとめて書籍化したもの。若者への説教くさいのが鼻につくが、けっこういろんな視点で分析していておもしろい
  • 視点
    • アマプラには倍速機能がない!→ネトフリへの流れ
    • そもそも配信だと数をみてもコストが一定なので、ちょっとだけ見て気軽な「捨て」ができる
    • 趣味の多様化
    • 最近の作品、説明台詞が増えた?
      • 説明風の長いタイトルの作品への言及
    • コンテンツと制約からの解放の歴史(製作者の意図を守る とは?)
      • 場所の解放(映画館からテレビへ)、時間の解放1(記録メディアへ)、金銭的制約からの解放(配信へ)、そして再生速度の制約からの解放(倍速)と、観賞体験は多様化がすすんでおり、製作者の意図した固定された鑑賞体験は昔から失われ続けている
    • 画面が個人化した(家庭に一つのテレビではなく、みんながスマホを持った)
    • ファスト映画で味見し、本映画を見る消費スタイルがある
    • 「結末を知っていたほうが安心できる」派の台頭
    • 説教くさい!
  • 等速の人間だが、バラエティ番組の特定のコーナーなどは飛ばしがち-
  • 10秒の間には10秒の意味がある!
    • 本当にいつでもそうか?
  • 倍速と学習
  • フォロワーが「ファスト映画には独特の中毒性がある」と言っていた
    • 三幕構成のおいしいところだけ高速で大量に流し込まれる状態に
    • 「そういえばファスト映画で見たことあった」という気づきをする人が倍速新書にも出てきた
  • 本人も倍速視聴サバイバー
    • 4時間の倍速を繰り返し、等速で見て感動した経験があるらしい!
  • 伊藤弘了の記事
    • hitocinema.mainichi.jp
    • 体感時間としては等速に近づいている(つまらないところは飛ばし、おもしろいところはじっくり見るので)指摘はおもしろい
  • ジブリは視聴体験を固定するため、ディスク化・配信せず、三鷹の施設でしか放映してない作品がある

メディア過渡期についての話題へ...

  • 『映画音響論』長門洋平
  • サイレント→トーキー
    • この時代を描いた(トーキー時代の)映画が「雨に唄えば」で、美人だが声がよくない女などが登場
  • 白黒時代
    • 血のりには墨汁が使われていたらしい
    • 椿三十郎では雨の表現に砂を投げていたらしい(適度に影もついていいとのこと)
  • 白黒→カラー
    • オズの魔法使は白黒とカラーの移り変わりの時代で、現実⇄オズの国 が 白黒⇄カラーに対応されている

ドント・ルック・アップ

https://www.netflix.com/jp/title/81252357

  • ネットフリックス制作、アダム・マッケイ監督(マネー・ショートの監督)
  • 情報社会が最悪の結論を出し続ける最悪のアルマゲドン
  • 巨大彗星が地球に向かっていることを大学院生が発見するが、誰にもまじめに取り合ってもらえない!映画
  • 選挙に追われる大統領、「悲しいニュースも楽しく話そう」のテレビ番組、ゴシップライター
  • それがすぐ目の前にくるまで、脅威の程度を正しく認識できないというホラー
  • 脅威が彗星なのがいい
    • いやおうにも目の前に現れるので
    • 最後まで信じないためには、ドント・ルック・アップするしかない
    • 現実世界にとっての彗星(脅威が眼前まできてヤバさが目に見える形にまだなってはいないが、実はメチャクチャやばいこと)とは...みたいなことを考えてしまう
  • 最悪のインターネット、最悪の資本主義が楽しめる映画

春ゆきてレトロチカ

  • 名家の不老の果実の伝承をめぐる、大正から現代にかけての100年にわたる殺人事件の謎を解く全編実写映像の推理ゲーム。現代にいる主人公の視点が時代をまたいでザッピングし(作中作として出てくる探偵小説やルポ記事の視点人物に没入する)、事件を解決するごとに過去と現代の因縁がつながっていく。
  • www.jp.square-enix.com
  • 実写のシナリオゲームの系譜
    • 鈴木爆発(爆弾解体ゲーム)
    • アナザーマインド(主人公の意識に寄生したプレイヤーが、主人公を操作するのではなく、はたらきかけてトラブルを解決するゲームらしい。やってみたい)
    • 街 〜運命の交差点〜
    • 428 封鎖された渋谷で
    • 実写は一時期のスクウェアエニックスチュンソフトがやっていたが、あまり流行らなかった
  • 推理ゲームの系譜
    • 逆転裁判
    • Trick & Logic
      • レトロチカのディレクター、伊東幸一郎はTrick & Logicと428の人
      • なんか死後の世界の閻魔帖編纂室みたいなところで問題編だけの推理小説を読み、問題編のキーワードを用いて推理の穴埋めをして真相を導くゲーム
      • ミステリ作家が多数参加していた
  • 100年の因縁というテーマと、「不老の実」というテーマ
    • なんか時代がぜんぜん違うのに同じ人っぽい人がいる...ワクワク
  • マルチキャストで異なる時代の異なる人物を同じキャスト陣が演じる
  • まずすべてのヒントが隠された映像が流され、推理パートで手がかりを整理して犯人を指摘する
    • ちょっと推理パートのテンポが悪い
    • やっぱり逆転裁判はすごい(証拠が出てくるのと推理が同時並行で行われるのでテンポがいいため)
  • ナイブズ・アウト
  • 9人の翻訳家
  • そういえば大逆転裁判はすごくいいゲームだった
    • シャーロックホームズといっしょに大正時代の成歩堂の祖先がスチームパンク大英帝国でおおあばれ
    • ホームズは先進的なスチームパンク・科学調査技術をもっていて主人公は確度の高い証拠情報を得るが、法廷では受け入れられない
    • 指紋調査の証拠能力とか
    • 文化の衝突、外交問題法治国家の黎明期など
    • シンボルの扱いがめちゃくちゃうまい

その他話題にあがったもの