(小市民のための)何もしない節約術

昔、格安SIMを使ってる人は高所得者のほうが多い!という記事を読んでびっくりしたのを覚えている。
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今でこそ業界全体的に安くなったり三大キャリアが格安SIMの価格帯に参入したりと、格安とそうでない回線の差は近づきつつある(それでも大きい)が、調査結果が出た2017年ごろといえば、その価格には雲泥の差があった。

「安い価格で携帯回線をもてる」サービスが、情報リテラシー格差や端末の初期投資の必要性などを原因に、結果的に経済格差を広げているのは皮肉な話である。

めんどくさい税

ぼくは極度のめんどくさがりなので、節約のために自分の行動を変えるのはイヤだし、節約のために手間をかけるのも苦手である。

一回設定するとその後いっさい変更しなくていいくらいの手法(年に一回くらいはメンテしてもいいかも)くらいでないと実践する気になれない。ので、細やかな日常のライフハックではなく、上であげた格安SIMのように、固定費を下げるわざをいくつか実践している。

携帯回線などは最たる例だが、惰性で昔のものをそのまま使い続けること、制度について無知であり続けることは、継続的に少しずつ、累積としては相当の額の資産を目減りさせる。ぼくはこれをめんどくさい税と呼んでいる。現代においてめんどくささはキッチリ確実に搾取されているし、逆進性もあるように思う。

ここでは特にインフラと税金について、一度やったらあとは何もしなくていい、スイッチングコストをかけるだけでできる節約術を紹介する。

インフラ

格安SIM(格安プラン)は使っているか?

目安:20000〜30000円/年

まずはじめに見直すべきはこれである。携帯回線といえばドコモ、ソフトバンクauの三大回線しかなくて、携帯電話の本体は携帯ショップで買うものである――十数年前の惰性にそのまま身をまかせ続けていないか?

各社の携帯回線のプランを調べてみて思うのが、その複雑性である。いわく、はじめの6ヶ月間だけ割引がある。いわく、光回線といっしょに契約すると割引がある。機種代金が割賦払いになっていて毎月それと同額のキャッシュバックをしている。家族割引がある。学割がある。サブスクのサービスがついている。前の月使わなかったギガを引き継げる。LINEはいくら使ってもカウントフリー。

お得感を煽るこれらはすべてまやかしであり、どんなに積み上げたところで格安SIMどころか、三大キャリア自身が提供している格安プランのほうが安い。

人が格安SIM、格安プランに変えない理由はだいたい次のようなものである:

SIMロックがあるから
回線業者で携帯を買ったとき、その回線でしか端末を使えなくしている仕組み(SIMロック)は、最近は撤廃されている。昔のものもショップで3000円くらいで解除できる。

電話番号が変わるから
変わりません。MNP(携帯電話番号ポータビリティ)という仕組みがあって引き継げる。

回線の契約期間内で、解約金(や端末の残債)がかかるから
大手の通信回線は2年契約などの縛りを設けていて、2年区切りの月のタイミング以外で解約しようとすると解約金が発生する。数年前までは10000円かかっていたが、2019年以降は1000円になっているため、更新月以外で解約しても一月で回収できる。端末の残債も、払ってでも抜けた方が安くなることが多い。

親が払ってるから
学生に多いケース。支払いが自分ではないので気にしていないパターン。気にしよう。
上に述べたように、三大キャリアの回線を家族割で使ってる、学割で使ってるという場合も、割引かれたところでそっちのほうが高い。

三大キャリアは通信品質がいいから
そんなすごい通信してるんですか?
まれに業者によって通信品質に問題があることもあるが、ぼくはMVNOで回線品質に不満をもったことはない(UQ Mobileを使っている)。いずれにせよそんなに気になるならキャリアが同じ格安プラン(ahamo、LINEMO、povo)には切り替えるとよい。

キャリアメールが使えなくなるから
このケースも多いっぽい(三大キャリアの格安プランでもキャリアメールは使えない)。 お前はこれから一生、毎月数千円のコストを支払ってキャリアメールのアドレスを維持し続けるんか?

ATMで手数料を払っていないか?

目安:3000円/年

学生のころ、夜や休日に時間外やコンビニのATMでおろして100円だの200円だのの手数料を取られて「損したな〜」と思ったことが何度もあった。超低金利の現代では、ATM手数料をいちいち払っていては銀行に預けているだけでお金が減っていく。

メガバンクや銀行の中には、預金口座のオプションに「スーパー普通預金(三菱UFG)」「SMBCポイントバック(三井住友)」「みずほマイレージクラブ(みずほ)」などの優待サービスがあり、ある程度の条件を満たすとATMの時間外手数料やコンビニATMの手数料が無料になる*1

これらの優待は前の月の金融サービス利用状況を踏まえて次の月に適用されるかが決定される。

メガバンクの三行を比較すると、優待を得るのに必要な条件として軽いのは

  • 給与口座にしている(「給与」や「年金」の名目での一定額以上の振り込みがある)

だろう。また、定期的な収入がない場合でも

  • 三菱UFG:インターネット通帳を利用している
  • 三井住友:SMBCのクレジットカードの引き落としがある or 若者(24歳未満)
  • みずほ:みずほのクレジットカードの引き落としがある or 預金残高30万以上 or 学割(25歳未満、学生)

などの条件でこれらの優待を利用できる。一番簡単なのは三菱UFJ銀行をインターネット通帳で使うことで、口座を開設するときスマホアプリで登録するだけで誰でも条件を満たすことができる。

地方銀行も調べてみるとこの手のサービスを展開していることがあるが、申し込んではじめて適用されるものも多い。使っている銀行にこの手の優待サービスがあるか、あるならそれを利用できるか確認して、場合によってはメインバンクを鞍替えすることも検討してみてはどうか。

一年につく利息より高いATM使用料を毎月のように支払ったり、時間外利用にならないようスケジュールに気を遣ってATMに行くのはアホらしいので、やめよう。思考に使うリソースが減るという点でも、強くオススメする。

税金

生命保険料控除枠は使っているか?

目安:7000円〜10000円/年(所得税率による)

所得税・住民税の控除に「生命保険料控除」というものがある。生命保険料控除は「生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の三つにわかれていて、それぞれの区分の保険に加入して保険金を支払っていると、そのぶん税金がちょっと引かれる、国が国民に保険に入るよう推奨する目的で作られた制度である。

お金の面だけでいえば、一見「いや、保険に金払ってるんだったら税金がちょっと安くなってもトータルで損してるじゃん」と思ってしまう。が、積立型の保険(ある期間を過ぎると支払ったお金が帰ってくる)はそうはならない。保険会社に将来帰ってくる資産として保険料を積立てつつ、控除の恩恵に与れるというワケである。

控除額は三つとも最高で(年間保険料80000円以上で)所得税40000円、住民税28000円である。所得税率によるが、保険に入るだけでそれぞれ年間7000円〜10000円の税が軽減される計算になる。

以下に示す理由で、三つのうち生命保険料控除だけが何も考えずに気軽に使える。

介護医療保険料控除
医療保険は積立てるものではないので、入っていれば控除の申請をすればよいが、このために入る、という話にはならない。

個人年金保険料控除
個人年金保険については年金の定義上、60歳まで積立した資産がロックされるうえ、節税効果は個人型確定拠出年金iDeCo)の方が高い。iDeCoの枠を最大限利用して、それでも(老後になってから使いたい、ロックされてもいい)資金が余っているなら検討すれとよい。

生命保険料控除
今回の本題。一般的な生命保険のほか、学資保険なども対象となる。
いま控除枠を使っていなくて特に生命保険に入る予定がないなら、これを埋めるために作られたとしか思えない、唯一無二の「じぶんの積立(明治安田生命)」という保険商品があるので、利用を強くおすすめする。

特徴はこんな感じ:

  • 一口5000円/月。
  • 保険期間は10年で、5年の払込み期間の後、さらに5年待つと満期になる(103%で帰ってくる)。
  • 払込期間中は、いつ解約しても返戻率が100%である

(控除枠までしか使えないが)節税効果だけでみても、ほとんどリスクなく年利7%ほどをあげる超優良投資効率の金融商品である。

契約を途中解除しても払い込んだ保険金がつねに100%返ってくるうえ、生命保険料控除の恩恵に与れる、つよつよ定期預金みたいなこの保険、なぜ存在するかというと、いわゆる(?)ドアノック商品(これをエサに他の保険への加入を勧める、保険勧誘の入り口の役割の商品)であるらしい。

この保険はWebで申し込みを完結させることはできず、保険会社の人と対面で契約する必要があって、他の保険を強く勧められるのかな……と身構えてアポを取って保険ショップに行ったのだが、特にそんなこともなく、一時間ほどですんなりとこれだけ契約することができた。

保険料控除の手続きとしては年末調整の際に関係書類を提出するだけでいいとのことである。

ふるさと納税しているか?

やり得。

おまけ(投資)

「普通の人が資産運用で99点をとる方法とその考え方」って有名な記事があって、
hayatoito.github.io

結論としては「リスク資産として考えてよさそうな余剰資金をとりあえずインデックス(ある方法で株の価格を平均したもの)に投げておけ」という話をしている。(投資自体に楽しみを見出したりギャンブルをやりたいのでなければ)まことにその通りだと思う。
株の銘柄買いをするな、そこらの投資家よりもインデックスのほうが賢いのに素人が勝てるワケがない、素人が投資に思考のリソースさくほどアホなことない、インデックス積立で買うなら年間30分考えるだけで済む、といった感じである。
けっこう面白いので一読をおすすめする。

金と効用の話

ぼくは刹那的に生きており、60歳までロックされる金(確定拠出年金個人年金)を貯めるよりは、若いうちに使ったほうが同じ金額で得られる効用/満足度もずっと高いと思っている。入り用になったとき使える状態にしておきたいのもあって、企業型確定拠出年金を少し積み立てているほかはiDeCo個人年金もやらず、余剰資金は積立NISAに回している*2

金は若いうちに使ったほうがええ。

*1:コンビニなど提携先のATMは月に一回や二回の回数制限あり。ちょうど最近(2021年の7月ごろ)から各銀行でこれらのプランに見直しが行われ、少しだけ条件が厳しくなっている。

*2:めんどくさがりの人間が積立NISAを登録し、使えるまでには本当に長い長い物語があった